【続】幼なじみは俺様王子。
「どう……かな?」
艶のある髪についた花の髪飾りを触りながら、あたしに尋ねる。
「うん……すごく似合ってる」
制服姿のあたしが段々惨めに思えてくる。
やっぱりこんなの……勝てっこないよ。
「穂香ちゃんは、何をアピールするの?」
あたしの心情なんて、何も知らない素振りの柚月サンがあたしの顔を覗き込む。
「あたしは……」
言葉が見つからない。
アピールすることなんて決まってない。
でも……何か言わなきゃ。
このまま黙ってたら、柚月サンに負けを認めてるも同然。
負けちゃうような気がして……。
今、あたしが一番したいこと……。
しなければならないこと……
「……楓と仲直りする」
パッと頭に思い浮かんで、自然に口に出た言葉。
「えっ? 仲直り……?」
何も知らない柚月サンは、不思議そうに大きな瞳を丸くしてあたしに問いかける。
「そう……仲直りするの」
それは自分に向けて放った言葉のように思えた。
……そうだ。
今のあたしに出来ることは……
ーー『言ったろ? 俺を信じろって』
魔法のような言葉をくれた楓に、あたしの気持ちを正直に伝えることだ。