【続】幼なじみは俺様王子。
心で通じ合えることもたくさんある。
何も言わなくても相手に想いが伝わることだってある。
だけど、恋愛下手で不器用なあたしは
言葉で想いを伝える以外、方法なんてないんだ。
それを、このステージで彼に見守っていてほしい。
例え、どんな結果が出ようと
あたしは彼が好きだからーー…。
「ちょっと穂香ちゃん、どうゆうこと?」
柚月サンは、あたしに答えを急かすように問い詰める。
ふと、目に入った柚月サンの胸元に付けられたエントリー番号。
……こうしちゃいられない。
今すぐにこの込み上げる想いを伝えたい。
あたしは柚月サンの言葉を無視して、ステージの方へと走り出した。
それはもう、無意識に近い行動で。
「穂香ちゃんっ!どこ行くの!?」
背後から柚月サンの声が聞こえてきたけど、あたしは振り返らなかった。
最前列のステージ近くへ着くと、観客席側から拍手が響いて聞こえてきた。
それと同時に、アピールタイムを終了した女の子がこちらに向かって歩いてくる。
『ありがとうございましたー! えーお次は、エントリーナンバー……』
ステージで司会者が次のアピールタイムの進行をしている。
あたしは気にも止めずにステージへと足を進めた。