【続】幼なじみは俺様王子。
それは、あーちゃんの字で書かれた殴り書きの手紙。
ーー『穂香、王子は家庭科室でこの様子をモニターで見てるって!』
「えっ……」
顔を上げてあーちゃんを見ると、あーちゃんはニコッと笑ってあたしに頷いた。
「穂香、よく聞いて!」
そして……
「お姫様は、王子が想う女の子だけ」
透き通るようなその声は、あたしの耳にしっかりと届いた。
「お姫様を選ぶのはここにいる生徒じゃなくて、王子様なんだよ」
あーちゃん……
ふたりはきっと、あたしが楓を探してる姿を見て、急いで楓の居場所を伝えようとしてくれたんだね。
そして……
ーー「お姫様は、王子が想う女の子だけ」
そんな言葉も。
「ふたりとも……本当にありがとう」
涙のせいで消え入りそうな声を絞り出して言った。
いつもあたしを支えてくれて、本当にありがとう。
ギュッと切れ端を握りしめる。
ふたりの気持ち、そしていつも側であたしを見守ってくれた爽の気持ち。
無駄には出来ない。