【続】幼なじみは俺様王子。
ぶつかったのは、男の人だった。
短髪の黒髪で、軽くウェーブのかかった柔らかそうな髪。
身長は、楓より少し低い170センチくらい。
でも、モデルみたいにスラッとしていて、どこかのファッション雑誌から出てきたような人。
見た目から年は、あたしと同じくらいだと思う。
「あ、大丈夫……」
男の人は、あたしには見向きもせずに、小さな声でそう言うとスタスタと足早に去っていった。
ーーチャリッ
「……あ」
男の人のポケットから落ちた、キラキラと輝く金属。
あたしはそれを拾い上げた。
金色の十字架のネックレス。
これ、あの男の人のだよね……?
「あ、あの……っ!」
ハッとして声を発した時には、もう男の人の姿はなくて。
こ、これ……どうしよ……。
届けるって言っても、あの人の居場所分からないし……。
まあ、もし今度会った時に渡せばいいか。
あたしは男の人の十字架のネックレスをスカートのポケットにしまった。