【続】幼なじみは俺様王子。







「頑張れ!穂香!」


ガッツポーズをしてあたしを応援してくれるふたりに笑顔で頷く。


「なんか感動しちゃいました! あのっ、頑張って下さい!」


女の子にもそう背中を押され、あたしは再びステージに上がった。



観客席がより一層ざわめきだした。


意を決したあたしは、拳を力強く握りしめる。



本当はすごく怖い。


心臓が、このまま壊れてしまうんじゃないかってくらい加速してる。


でも、ここまで来たらもう、後戻りなんて出来ない。


あたしを応援してくれているみんなの気持ちを無駄に出来ない。



そして……楓の気持ちも。



『このままではコンテストが続行出来ません! さぁ、早く……』


ポカンと口を開けて、ステージ袖でのあたし達のやり取りを見ていた司会者があたしを止めようとしている。


それを遮るかのように、あたしは目の前にあったマイクを力強く手に取った。


マイクのキーンというノイズとともに、体育館内のざわめきが嘘のように静まり返った。





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