【続】幼なじみは俺様王子。



ーーポチャンッ

湯船から香るレモンの香り。

あたしは、お湯に浸かりながら、蓁宮椿姫サンのことを一人、考えていた。

楓は、あれから蓁宮椿姫サンと一緒に帰ったのかな……?

でも、ご飯の時も平然としてたし……。

あたし、気にしすぎなのかな……。

考えれば、考える程、不安は募るばかり。

あたしはモヤモヤした気持ちを抱えながら、お風呂から出た。


お気に入りのタオル生地のルームウェアに着替えて、去年より少し伸びた髪をまとめる。

今日は、もう早く寝よう……。

そう思って、部屋のドアノブに手をかけた時だった。

ーーグイッ

手首を力強く掴まれて、隣の部屋に引きずり込まれる。

……犯人は、言うまでもなく、あたしの同居人なんだけど。

楓の部屋に入った瞬間、後ろから力強く抱き締められた。

甘い香水の香りが、あたしを翻弄させる。

「穂香…お前、妬いてんだろ?」

楓の吐息が耳のすぐ近くで聞こえて、胸がドキドキする。




< 30 / 324 >

この作品をシェア

pagetop