【続】幼なじみは俺様王子。
ーーポチャンッ
湯船から香るレモンの香り。
あたしは、お湯に浸かりながら、蓁宮椿姫サンのことを一人、考えていた。
楓は、あれから蓁宮椿姫サンと一緒に帰ったのかな……?
でも、ご飯の時も平然としてたし……。
あたし、気にしすぎなのかな……。
考えれば、考える程、不安は募るばかり。
あたしはモヤモヤした気持ちを抱えながら、お風呂から出た。
お気に入りのタオル生地のルームウェアに着替えて、去年より少し伸びた髪をまとめる。
今日は、もう早く寝よう……。
そう思って、部屋のドアノブに手をかけた時だった。
ーーグイッ
手首を力強く掴まれて、隣の部屋に引きずり込まれる。
……犯人は、言うまでもなく、あたしの同居人なんだけど。
楓の部屋に入った瞬間、後ろから力強く抱き締められた。
甘い香水の香りが、あたしを翻弄させる。
「穂香…お前、妬いてんだろ?」
楓の吐息が耳のすぐ近くで聞こえて、胸がドキドキする。