【続】幼なじみは俺様王子。
「ちょっと、いつまでこのままなの……っ!?」
体育館裏に差し掛かったところで、あたしは楓から半ば強引に降りた。
今年の文化祭のメインはこのコンテストと言うこともあってか、この辺りには人一人として見当たらない。
そんなコンテストであたし………
あぁあああああ!!
思い出しただけで顔から火が噴き出そう……。
もお……あたしってば、なんてことしちゃったのよぉ……。
今になって正気に戻る。
これから卒業まで、どうやって過ごして行こう……?
「……なに? そんなに恥ずかしかった?」
火照る顔を両手で押さえるあたしの顔を覗き込んで、嫌味っぽく微笑む。
「なによぉ……さっきはあんなこと言ったくせに……っ」
あたしは両手で押さえたまま、楓を見上げてキッと睨んだ。
「あーあ。さっき俺に好きって言った時の顔は、そそられるくらい可愛かったのに」
楓は「はぁああ……」とわざとらしくため息をついてあたしに背を向ける。
なによぉ……
それじゃ、今のあたしは可愛くないってワケ?
ほんと……二重人格王子。
悔しいくらいカッコいいその背中を見ながら、さらに睨み付けた。
「……でも」
クルッと方向転換して、あたしと向き合う楓。
ブラウンの瞳で迫られて、あたしはなぜかカチコチに固まってしまう。
そして、あたしの唇を指でゆっくり撫でると
「そんなとこは、もっと可愛い」
そう囁いて、あたしの耳に軽いキスをした。
な、なな、なんてこと……っ!
アタフタするあたしと、余裕な笑みであたしを見つめられている楓。
楓といると心臓がいくつあっても足りない……。