【続】幼なじみは俺様王子。
◆幼なじみは×××!?
ーー季節は巡り、3月。
凍えそうな冬を越え、ようやく春が訪れた。
桜が舞い散る校庭。
そして今日は……卒業式。
みんなが涙ぐみながら抱き合ったり、写真を撮ったりしている。
ガヤガヤとした校庭で、あたしは「ふぅ」と息を吐いた。
長かったようであっという間に感じた3年間。
それも、今日でおしまい。
なんか、すっごく寂しいな……。
「うぇええええんっ!」
校庭の桜をぼんやりと見つめていると、後ろから勢いよく愛チャンが飛びついてきた。
「うわっ」
その弾みで前鏡になるあたし。
「ど、どうしたの愛チャンっ」
振り返るとそこには、目に涙をいっぱい溜めた愛チャンがあたしを見つめていた。
「だってぇ、これから毎日会えなくなるんだよっ? 離れ離れなんて寂しいじゃないっ……」
確かに……。
当たり前のように過ごしてきた毎日がなくなっちゃう。
そう思うと、悲しい……。
「でもさ、会おうと思えばいつだって会えるじゃない」
愛チャンの後ろから、あーちゃんが顔を出す。
そんなこと言ってるあーちゃんだって、今にも泣き出しそうな顔してる。
「でも……あたしは、離れ離れだよ?」
あたしから体を離した愛チャン。
……そうだった。
「愛チャンは、隣町に引っ越すんだよね……」
愛チャンは、身寄りの少ないおばちゃんと4月から一緒に暮らすみたい。
それを知ったのは、つい最近だった。