【続】幼なじみは俺様王子。
「本当は去年からずっと決まってたんだけど、なかなか言い出せなくて……」
そう言って俯く愛チャン。
「でも、会いに行けない距離じゃないし、いつでも会えるよ!」
そんな励ましの言葉は、まるで自分に言い聞かせてるように思えた。
本当……寂しくなるな……。
溢れてくる涙を必死で抑える。
「ふたりとも、ありがとう……。あーちゃんは、これからどーするの?」
愛チャンが涙を拭いながら、あーちゃんに目を向ける。
「あたしは大学に行くわ」
そう言ったあーちゃんは、近くにいる瀬川クンに目を向ける。
「……ははーん。あーちゃんってば、ほんとは瀬川クンのお嫁さんになりたかったんでしょー?」
さっきまでの涙が嘘のように、愛チャンは目を三日月にしてあーちゃんに詰め寄る。
「そ、そんなんじゃないわよっ! ただ……湊斗が大学で浮気しないか心配なだけっ……」
顔をタコみたいに真っ赤にして小さく呟くあーちゃん。
あ……そうゆうことか。
あーちゃんと瀬川クンは同じ大学に進学するんだっけ。
のちには結婚とか……?
ひゃあー、なんか想像するだけで微笑ましい。
「結婚式には呼んでよね~?」
「な、なに言ってんの! そんなのは、ずっとずっと先の話よっ!」
相変わらず、あーちゃんはウブだなぁ。
でも、そんなところもあーちゃんの良いところだと思う。
だって、もしあーちゃんが、恋愛のスペシャリストとかになったら、絶対ついていけないもん。
「まぁ、あたしの話はよしとして……穂香はどーなのよ?」
「……へっ? あ、あたし?」
いきなり話をふられて拍子抜けした。
「ど、どうって言われても……」