【続】幼なじみは俺様王子。
ーー文化祭の後。
コンテストを台無しにしてしまったあたしと楓は、先生にたっぷりと説教された。
まあ、楓はいつものように偉そうな態度で、あたしがペコペコと頭を下げるだけだったけど……。
そして、文化祭の3日後。
あたしは柚月サンに呼び出された。
「穂香ちゃん、色々迷惑かけちゃってごめんなさい……」
そう言って深々と頭を下げる柚月サンに、あたしもコンテストを台無しにしてしまったことを謝った。
「あたし、やっとわかったの。コンテストで皆に選ばれた人じゃなくて、楓に選ばれた人がお姫様だってこと……」
そう言う柚月サンの瞳がキラリと光ったのを、あたしは見逃さなかった。
「どんなに好きでも、届かない想いもあるんだよね」
「柚月サン……」
胸がギュッと締めつけられた。
「羨ましかったの、昔からずっと。楓に想われている穂香ちゃんが」
あたしも柚月サンが羨ましかった。
柚月サンだったら、楓との仲をみんなに応援してもらえるだろうなって心から思ってた。
でも……柚月サンも同じだったんだね。
「もうふたりのこと邪魔したりしない。だけど、もう少しだけ楓のこと……好きでいさせて?」
そう言われて、あたしは小さく頷いた。
……それから2ヵ月後。
柚月サンは突然、転校した。
『穂香ちゃん
今までごめんね。それと、ありがとう。
あたしは、華道の専門知識を身に付けるため、お母さんと一緒にこの町を出ます。
穂香ちゃんに会えなくなるのは寂しいけど、これからも友達でいてくれたら嬉しいな』
あたしの下駄箱に、そんな手紙を残して……。