【続】幼なじみは俺様王子。



「お前、どうせ、蓁宮と俺が仲いいからどうのとか思ってたんだろ?」

ギク……ッ!

楓の言うことは図星だったから、あたしは素直に頷いた。

ーーポン

その瞬間、あたしの頭に楓の柔らかい手が乗っけられた。

「安心しろって」

穏やかな口調で、そう言って、あたしに優しく微笑む。

「蓁宮とは、マジでなにもねぇよ?」

「本当に……?」

上目遣いで、楓を見つめる。

「去年、言ったろ? 俺を信じろって」

「うん……」

あたしが頷くと、楓は満足そうに笑って、あたしに顔を寄せる。

「たとえ、他の女が俺を好きだとしても……」


きっと、また……


「俺は穂香しか見えてねぇから」


ーー王子様の甘い魔法にかけられる。

“穂香しか見えてねぇから”

王子様は、いつも肝心なところで、あたしの一番欲しかった言葉をプレゼントしてくれる。

“あたしも、楓しか見えてないよ”

恥ずかしくて、そんな甘美な言葉は言えないけれど。

楓には、伝わってるよね……?




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