【続】幼なじみは俺様王子。
お母さんの言葉にあたしは声にならない叫びを上げた。
「ちょっとちょっと、どうゆうこと!?」
自分で言うのもなんだけど……まさか健全な男女ふたりをこれからも一緒に住ます気!?
「穂香、嫌なのぉ? てっきり寂しいと思ったからそうしようって鈴ちゃんと決めたのに~」
「いや、そういうわけじゃないけど……」
というか、どちらかと言ったら寂しいけど。
「でしょ~? だったらそれで決まり!」
お母さんの言葉を合図に、お父さんも鈴さんも「カンパーイ♪」なんて言ってビール飲んでるし……。
ふぅ……なんて陽気な人たちなんだろう。
でも、これからも楓と暮らせるなんて……すっごく嬉しい。
「よかったな? これからも一緒で」
そう楓に顔を覗き込まれて、あたしは恥ずかしながらも小さく頷いた。
「……ところで、楓」
ビールを一気飲みした鈴さんが楓の名前を呼ぶ。
「入籍はいつするの?」
「……は、はぁ!?」
楓が目を大きく見開いて、今まで見たこともないくらい驚いている。
に、にににに入籍!!??
鈴さん、一体何を言ってるの!?
「そんな驚かなくてもいいじゃない。高校卒業したんだし、もちろん結婚するんでしょ?」
「ちょっとお母さんまでっ! け、けけけ結婚って……」
あ、あああたしが楓と結婚するの!?
イコール……楓のお嫁さん。
いやいやいや、そんな方程式成り立っていいのかな。
「10年前、この街を出るときにね、楓が言ってたのよ」
「えっ?」
鈴さんが大きな瞳を三日月の形にして、ニンマリと妖しい笑みを浮かべる。
「大きくなったら、穂香ちゃんのお婿さんになるんだ! ってね~♪」
う、嘘……。
「す、鈴さんっ!」
いつも以上に焦っている楓の隣で、あたしは林檎みたいに顔が赤くなるのを感じた。