【続】幼なじみは俺様王子。
好きな人にこんな風に想われることがこんなに幸せなことなんて、楓に出会うまで知らなかった。
胸が引き裂かれるくらい辛い思いもたくさんした。
けど、そんな痛みをいつも取り除いてくれるのは彼の一途な優しさだった。
あたしが今こうして笑っていられるのは、紛れもなく目の前にいる王子様のおかげなんだ。
そう思うと愛しくて、あたしは思わず楓をギュッと抱き締めた。
「なに? 誘ってんの?」
そんな言葉であたしを茶化す。
「もお、バカっ」
こんなにも愛しくて幸せに感じる時間は他にない。
「大好き……楓」
そう呟くと、今度は楓に力強く抱き締められた。
「バーカ。そんなの、とっくに知ってるよ」
楓の吐息が耳にかかってくすぐったい。
「……愛してる。これから先もずっと」
視線を交わい、あたし達は引き寄せられるように唇を重ねた。
ーーその瞬間、あたしの永遠は王子様に託した。
こんなに泣き虫で弱虫なあたしを、一人のお姫様に変えてくれたのは、ここにいる愛しい王子様。
………愛してる。
幼なじみは、俺様王子。だけど、これからは……
幼なじみは旦那サマ。
近い未来、きっとね。
*Fin*