【続】幼なじみは俺様王子。
「その時、アナタが落としたものだと思うのですが……」
男の人は、思い出したように、ああ!と声を上げて笑顔でネックレスを受け取った。
「ありがとう。あの時、落としちゃってたんだね」
なんか恥ずかしくなってあたしは声を発することなく、ただ頷いた。
……って、あたし、こんなことしてる場合じゃないって!
急いで時計を確認する。
遅刻対象時間まで、後、2分しかないじゃないぃいいいい!
「あの、すいません! あたしはこれで! 」
失礼します、とお辞儀をして、立ち去ろうとした時……
「……待って!」
男の人に腕を掴まれた。
「急いでるなら、俺の後ろ、乗っていきなよ。ネックレスのお礼にさ」
男の人は爽やかに笑ってバイクに乗ると、あたしにヘルメットを差し出す。
このまま走って行っても絶対に遅刻決定だし……。
せっかく、お礼って言ってくれてるのに、断るのも失礼だよね。
「あ、ありがとうございます……」
あたしはヘルメットを受け取って、男の人の後ろに跨った。