【続】幼なじみは俺様王子。
「よく、掴まっててね」
その言葉とともに、バイクは音をたてて、走り抜けて行く。
バイクなんて、乗ったのは生まれて初めてで。
ちょっと怖かったけれど乗ってるうちにだんだんと慣れてきた。
風と一緒に、柑橘系の香水の香りがはこばれる。
きっと、この人の香水だろう。
柑橘系の香りは爽やかなこの人には、とってもよく似合っている。
しばらくして、学校の近くの桜並木の先に校門が見えてきた。
バイクは校門をくぐり抜け、駐輪場まで来ると、ブーンと音をたてて止まった。
ヘルメットを外して、男の人に渡す。
「あの……ありがとうございました」
男の人は笑顔でヘルメットを受け取ると、ヘルメットの顎ひもをサドルにかけた。
「さ、行こっか?」
「へっ?」
行くって、一体どこへ……?
考えているあたしを見て男の人はバイクの鍵を手で、クルクルと回しながら、口を開いた。