【続】幼なじみは俺様王子。
先生があたしの近くまで近づいてきて、思わず肩をすくめる。
「さ、水沢。みんなに挨拶してくれ」
だけど、先生はあたしには目もくれず、水沢日向クンを連れて、教卓の方へ行ってしまった。
ホッとして、胸を撫で下ろす。
はぁあああああ……。
先生は、あたしに気づいてなかったみたいだし、この隙に席に着いちゃお……。
先生が振り向かないうちに、足音をたてず席の方へ歩いて行く。
黒板に『水沢』まで書き終えた時、先生は「あ」と声を上げて、字を書く手を止めた。
そして勢いよく振り返って、眉をつり上げながら、あたしを見つめる。
ギク……ッ!
や、やっぱりバレてた?
「おい、川島。分かってるよな? お前、今日の放課後、きちんと掃除しろよ」
“きちんと”を強調して先生はあたしが頷くのを確認すると、また黒板に字を書き始めた。
はぁああああああ……。
やっぱり、そうなるよね……。
肩をガックリとおろしながら、あたしはトボトボと席につくのであった。