【続】幼なじみは俺様王子。
ーー放課後。
あーちゃんと愛チャンに手伝ってもらって、あたしは教室を掃除している。
「もう! 何回も遅刻するから、こんなことになるのよ!」
眉間にシワを寄せながらあーちゃんは、素早くホウキで床を掃く。
「まあ、いいじゃない。どうせ、この後予定もないわけだし」
愛チャンは鼻歌を歌いながら、呑気に黒板拭きをしている。
あたしは本棚を整理しながら、ふと今日のことを考えていた。
水沢日向クン、やっぱり人気者だったなぁ……。
女の子達から質問詰めだったし……。
転校生が来たって言って他のクラスの人も見に来てたっけ。
「それにしてもさ」
あーちゃんがホウキを掃除用具入れにしまいながら、口を開いた。
「穂香、それ虫さされ?」
「へっ?」
あーちゃんは、ニンマリと笑いながら、自分の首筋を指で指した。
不思議に思って、ポケットに入っていた手鏡で自分の首筋を見る。
そこには、昨日の甘い時間の“しるし”が赤く、くっきりと首筋に付いていた。