【続】幼なじみは俺様王子。



「なんだか、いい話ね……」

愛チャンが話し終えた後、あーちゃんはゆっくりと口を開いた。

十字架のペアネックレスかぁ……。

なんか、すごくロマンチックな話だなぁ。

水沢日向クンには、大切な人がいたんだ……。

水沢日向クンの爽やかな笑顔を思い出して、あたしは胸が温かくなった。

「おーい! お前ら、そろそろ帰っていいぞぉー!」

先生が教室の扉から、大きな声を発する。

気づけば、辺りはもう夕暮れで、教室はオレンジ色に染まっていた。

「じゃ、そろそろ帰ろうか」

愛チャンの言葉にあたし達は頷いて、置いてあった鞄を手に持ち、教室を後にした。

夕焼けでオレンジ色に染まる空は、とっても綺麗で。


カーカーと、カラスの鳴き声が、人気のない学校に鳴り響いていた。


「ねぇ、あの子……っ!」

校門に差し掛かった時、愛チャンが突然、口を開いた。

驚いたように目を見開いている愛チャンの指差す方にゆっくり視線を辿う。

そこにいたのは、長い黒髪を揺らしながら夕焼けに照らされる蓁宮椿姫サン……と楓の姿だった。




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