【続】幼なじみは俺様王子。
「……あーちゃん、なんかあった?」
穏やかな口調でそう言って、あーちゃんの顔を覗き込んだ。
「実は、ね……湊斗とケンカしちゃった、の……」
あーちゃんは目に涙を浮かべながら、ポツリポツリと話した。
あーちゃんの涙なんて、初めて見た。
中学生の頃からあーちゃんは勇敢で、悲しそうにしている姿なんて見たこともなかったのに……。
“恋をすると、人は臆病になる”
その言葉を本当なのかもしれない。
変わったのは、瀬川クンだけじゃなかった。
あーちゃんと瀬川クンが恋をして、あーちゃんも変わった。
恋なんて興味なかったあーちゃんが、今、恋のためにこんなにも悲しんでる。
恋をすると、人は変わるんだ。
「こないだね、同じクラスの可愛い子と楽しそうに話してるのを見ちゃったの……」
震える手をギュッと握り締めて、あーちゃんは続ける。
「女子と話すのは仕方ないと思うけどさ……」
すると、あーちゃんは、あたしを見つめて悲しそうに笑った。