【続】幼なじみは俺様王子。
あたしは、しばらくの間あーちゃんの肩をさすってあげた。
あーちゃんも、こんなに涙を流すことがあるんだ……。
あーちゃんのすすり泣く姿を見て、あたしまでも悲しくなった。
「…っ…穂香、ありがとう……。もう大丈夫よ」
あーちゃんは鼻をすすりながら、ゆっくりと顔を上げる。
「あたし、ちゃんと湊斗と仲直りするわ」
「あーちゃん……」
あたしが力強く頷くと、あーちゃんは涙の跡が僅かに残る頬を緩めて笑った。
あーちゃんと瀬川クン、無事仲直り出来るといいな……。
そんなことを思いながら頬杖をついて窓の外を眺める。
今日は、春らしい雲一つない晴天。
楓と10年ぶりに再会した時も、こんな空だったけ……。
あの時はビックリしたなぁ……。
「穂香、携帯鳴ってるわよ」
あーちゃんの言葉で一気に現実へ引き戻された。
「……へっ? 携帯?」
拍子抜けしながらも、あたしはバックの中で震える携帯を取り出す。