【続】幼なじみは俺様王子。
「……ほら、言いなさいよ」
愛チャンは途端に血相を変えて、冷たい口調で言い放つ。
まるで、去年の残酷な愛チャンに戻ったみたいだった。
愛チャンが蓁宮椿姫サンの背中をポンポンと叩く。
蓁宮椿姫サンは、小さく頷くと顔を上げて、あたしに近づいて来る。
蓁宮椿姫サンはあたしの前まで来ると、大きな黒い瞳であたしを見つめた。
「……ごめんなさい」
長い黒髪を揺らしながら深く頭を下げる。
頭を下げたまま、蓁宮椿姫サンは口を開いた。
「……私、楓が本気で好きです!」
蓁宮椿姫サンの言葉があたしの胸に突き刺さる。
あたしは、なにも言うことが出来なくて、思わず俯いた。
「だけど、片思いは今日で卒業します」
「え……」
あたしは俯いていた顔を上げて、蓁宮椿姫サンを見つめる。
「私、知ってたんです。楓とアナタの関係を……」
そして、悲しそうに蓁宮椿姫サンは微笑む。
「私には、両親がお決めになったお相手がいます」
「お相手……?」