【続】幼なじみは俺様王子。
「あーちゃん、愛チャンごめん!」
あたしの声に、2人が同時にあたしに視線を向ける。
「……穂香、どうしたのぉ?」
愛チャンが唇に手をあてながら、穏やかな口調で言った。
あ、愛チャンには、楓と会うなんて言いづらいよ……。
黙り込んでしまったあたしを見て、あーちゃんは察したのか、ゴホンとわざとらしい咳をする。
「穂香、職員室に急用なのよね。ほら、早く行かなきゃ!」
あたしがあーちゃんに視線を向けると、あーちゃんは意味ありげにウインクした。
「そ、そうなの! ちょっと急用が出来ちゃって……」
あたしがそう言うと、愛チャンは、ハチミツ色の髪を揺らしながら、可愛らしい笑顔を向ける。
「そっかぁ! いってらっしゃい!」
あたしは、笑顔で頷くと急いで教室を飛び出した。
たくさんの生徒で、賑わう廊下を全速力で走るあたしは注目の的。
ちょ、ちょっと恥ずかしいかも……。
そんなことを思いながら保健室まで超特急で走る。