【続】幼なじみは俺様王子。



学校で楓と会うのは久しぶりで、ドキドキする。


だけど、それと同じ位、罪悪感でいっぱいになった。


あたしは楓の彼女なんだから、堂々としてていいはずなのに……。


愛チャンのあの時の涙を思い出すと、本当のことは言えなかった。



あたしは肩で呼吸しながら、保健室の前まで来ると静かに扉を開いた。



……あれ?


先生、いないんだ……。



人気のない保健室は、カーテンが閉まっていて、少しガランとしている。


あたしは、ドアを静かに閉めて、辺りを見回した。


そう、肝心の彼がいないんですよね……。


もぉおおおおお!


自分から呼び出しておいて、それはないでしょ!



「なんでいないのよぉ……っ!」



あたしがそう吐き捨てて保健室を出ようとした瞬間……


「俺ならここにいるけど?」


聞き慣れた声が聞こえて、勢いよく振り返る。



< 63 / 324 >

この作品をシェア

pagetop