【続】幼なじみは俺様王子。
楓は誰もいなかったはずの、ベッドから降りて、あたしの前まで来ると不敵な笑みを浮かべた。
「な、ななな、なんで……さっきまでいなかったのに……」
「……ん? さっきからずっとベッドで寝てたけど?」
そう言って、楓はあたしの隣にあったパイプ椅子に腰掛けた。
「なぁ、穂香」
「なに?」
楓は気まずそうな表情を浮かべながら、瞼を伏せた。
そんな楓に違和感を覚える。
「……ごめんな」
「えっ……」
「蓁宮の時も桜田の時も俺、穂香のこと不安にさせた」
「………うん」
楓の切なげな表情に、思わず涙腺が緩む。
「俺、きちんと穂香に謝りたくってさ」
そう言って、優しくあたしの頭を撫でた。
楓……そんなこと思ってくれてたんだ……。
楓の温もりと、あたしにくれた言葉はすごく温かくて、胸にジーンと響いた。
「俺は、この先、なにがあっても穂香だけだから」
王子様の甘い言葉は、時折あたしを魔法にかける。