【続】幼なじみは俺様王子。
◆ドキドキ修学旅行
雲が綿菓子のように浮かぶ空に、朝日が昇っていく。
チュンチュンと雀の鳴き声がして、すごく爽やかな朝。
空港の前には、大きな旅行バックを持った生徒達がザワザワとざわめいていた。
そう、今日は高校最後の旅行行事。
修学旅行1日目。
「穂香、あたし達同じ部屋よ」
あーちゃんがしおりに目を向けながら、静かに口を開く。
「あ、うん……」
あたしが元気なく、頷くと、あーちゃんはあたしの顔を心配そうに覗き込んだ。
「心ここに有らずって感じね? もしかして、水沢日向のこと?」
あたしがコクンと頷くとあーちゃんは深いため息をついて、ショートボブの髪を触った。
「まあ、そんなこと言われたら、忘れられないわよ」
「うん……」
2週間前。
あたし達しかいない保健室で、あの険悪な雰囲気が一気にプレイバックする。
水沢日向クンが楓に言い放った一言。
「俺、学校一の王子様とか言って自惚れてる君がムカつくんだよね」
張りつめた雰囲気の中で水沢日向クンの声だけが響く。