【続】幼なじみは俺様王子。
あたしは、てっきり楓が何か言い返すと思っていた。
でも、楓はさっきと同様何も言わずに、ただ黙って水沢日向クンを見つめているだけだった。
「……お前の目的はなんだよ?」
ずっと黙っていた楓が、何かを見透かしているような口調で口を開く。
「俺の目的ねぇ……なんだと思う?」
いがみ合う2人の会話の意味があたしにはよく分からなかった。
だけど次の瞬間、水沢日向クンは想像を絶するような言葉を口にした。
「俺、アンタから穂香ちゃんを奪ってみせるよ」
涼やかで、だけど強さのこもった水沢日向クンの声。
真剣味をおびたその瞳は嘘のようには思えなかった。
う、嘘………
だって水沢日向クンには大切な人がいるんじゃ……
水沢日向クンの首に付いている銀色のネックレスに目を向ける。
じゃあ、あのネックレスはなに……?
「奪う、だって?」
瞬間、楓の声が一気に低くなる。