【続】幼なじみは俺様王子。
ど、どうしよう……っ!
溺れちゃうっ……!
踏み外した足が水中に浮いて、後ろに倒れる。
ーートンッ
………あれ?
お……溺れて、ない?
足は宙に浮いているのになぜか溺れてない。
堅くも柔らかくもない温かいモノに身をあずける。
「ったく。本当、危なっかしくてほっとけねぇ」
ゆっくりと目を開けたとほぼ同時に、聞き慣れた声が耳に入ってきた。
体をあずけたモノが人だと分かって、“彼”だと分かって、恥ずかしさが一気にこみ上げてきた。
堅い胸板があたしの肩にあたっていて、そこだけに神経が集中する。
「……穂香ぁ?」
そんなあたしをからかうように、楓はあたしを後ろからを包み込んで、耳元で囁いた。
密着している体と、
囁かれた耳が熱い。
あたしは顔を赤らめながらも、勢いよく後ろを振り返った。