【続】幼なじみは俺様王子。
楓は唇に人差し指をあてて、悪戯に微笑んだ。
そうしてあたしの髪を掴んで、体を自分の方へと引き寄せた。
ーーチュッ
驚いて目を見開いたままのあたしの唇に楓は優しく唇を重ねた。
あたしは目を見開いたまま、唖然として楓を見つめる。
息苦しさなんてものは全く感じなかった。
「…っ…はぁ…はぁ…」
水面に上がると同時に、息苦しさが一気にこみ上げてきて、あたしは肩で呼吸する。
そんなあたしを見て、楓は口端を上げ、ニヤリと笑っている。
もぉおおおおおお!
こ、殺す気かっ!
バカ! 悪魔! 鬼っ!
「…っ……ちょっと! なにしてんの!?」
呼吸を整わせながら、あたしは楓に勢いよく尋ねる。
「なにって……水中でキスしただけだけど?」
「あのねぇ……」
悪魔の微笑みを浮かべる楓を見つめて、あたしはため息をついた。
「……それとも」
目の前にいる悪魔は、だんだんと距離を縮めて、あたしの耳元に口を近づけた。