【続】幼なじみは俺様王子。




ドキン、ドキンッと激しく高鳴る胸の鼓動が聞こえる。


「キスだけじゃ足りなかった?」


まるで内緒話をするように、こっそりと耳打ちする。


「そ、そんなことない……っ!」


「ふーん。顔、真っ赤だけど?」


……あぁ。やっぱり。


この人には勝てない、とつくづく思うよ……。


エスパーだよ、本当に。



「ねぇ、穂香?」


さっきまでの悪魔はどこに行ったのか、楓は穏やか口調であたしの名前を呼んだ。


「今夜、お前のこと襲いに行くから」


“覚悟しとけよ?”


口をポカーンと開けて、拍子抜けするあたしとは裏腹に、楓は意地悪な笑みを浮かべていた。





ーーお昼。


時計が12時を指したところで、あたし達は一旦、お昼ご飯にすることにした。


あーちゃん曰わく、ここには美味しいと評判のパスタ屋さんがあるらしく、あたしとあーちゃんはふたりで、そのお店へと向かう。


その間に愛チャン達は、テラスの席を取っておいてくれるらしい。






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