【続】幼なじみは俺様王子。
「アイツ、学校一の王子様だしさ、付き合ってるとなにかと大変でしょ」
“女の嫉妬は怖いからねぇ”
そう言ってバカにしたように、クスッと鼻で笑った。
「それに」
一方的に話す水沢日向クンの吐息があたしの唇に触れて、くすぐったい。
「王子様、なんて騒がれて自惚れている男より、俺の方がよっぽと穂香ちゃんを幸せに出来ると思うよ?」
水沢日向クンは吐き捨てるようにそう言って、長い睫毛を伏せた。
その時……
「穂香を離せ」
聞き覚えのある声が耳に届いて、水沢日向クンはパチッと目を開けた。
やっと解放された体に、あたしは安堵の声をこぼす。
「お姫様を助けにきた騎士の登場か」
「黙れ」
挑発的な笑みを浮かべる水沢日向クンを鋭い目つきで睨みつける爽。
爽は水沢日向クンを横切って、あたしの腕をバシッと掴むと足早に歩き出した。