【続】幼なじみは俺様王子。
お風呂セットを片腕に抱えたまま、ただ走る。
通りすがる人々が、あたし達を不思議そうに見ていた。
「……あれ? 穂香ぁ?」
非常階段のところで、ばったり愛チャンにあった。
「早川クンまで……どうしたの?」
愛チャンはハチミツ色の髪を揺らしながら不思議そうに首を傾げている。
「あ、愛チャン! これ、あーちゃんに渡しておいて!」
あたしはそう言って、愛チャンにあーちゃんのお風呂セットを手渡す。
「……お、オッケー!」
状況が読めない愛チャンは戸惑いながら、あーちゃんのお風呂セットを受け取った。
BGMや生徒の声で賑やかだったホテルの非常階段のドアを開けて外に出る。
まるで別世界のようにホテル内の賑やかさは消え、波の音だけが響いていた。
スリッパのまま、あたし達はバタバタと階段をかけ下りる。
「……なんで外に来たの?」
「まあ、いいからついて来いって」
言われるがまま爽について行くと、いつの間にか灯台へ続く通路へとたどり着いた。