【続】幼なじみは俺様王子。
「もう……さ」
静寂に包まれる中で爽の声がやけに響いて聞こえた。
あたしは深い青色と紫色にグラデーションしている海を見つめながら「ん?」と、耳を傾ける。
「……穂香と楓の仲、邪魔しようとか思ってねぇから」
「爽……」
「穂香のこと忘れられるわけじゃないけど、アイツに負けたのにいつまでも引きずってるなんて未練がましいだろ」
悲しそうな表情を浮かべながらも、淡々とした口調で話す爽を見て、あたしはなんだか申し訳ない気持ちになった。
「だから、これからもいい友達としてよろしくな」
「……うん」
恋心は、きっと。
いつまでも、どこまでも
星空のようにキラキラと輝いていて
海のように、美しく
どこか、切ない。
それからあたし達はしばらくの間、言葉も交わすことなく、遙か遠くまで続く海をただ見つめていた。