春夏秋冬
その時、綾さん達もやって来た。
「優!しっかりしなさい!」
綾さんの声が遠くに聞こえる。
桜さんを救いたい。桜さんを苦しみから解放してあげたい。けど、今の桜さんに手を伸ばすのが怖い。
「もう…堪えられない…」
小さく呟き、桜さんは側に落ちていたビニール傘を手に取りゆっくり立ち上がる。そして、ゆっくりと傘を振り上げた。
「みんな…消えて…」
ああ、神様、あんたは桜さんを見捨てたのか。
そして、優に向かって傘が振り下ろされた。
「優ちゃん!」
いつきの悲鳴を最後に、世界の音が消えた。
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