春夏秋冬
優は照れ臭さを隠す為に人形を早く渡そうと、さっと桜さんに差し出した。
「どうぞ」
「貰ってもいいの?」
「はい」
元々そのつもりで取ったから。
桜さんは嬉しそうに手を伸ばす。その時、人形を持つ優の手と触れて、一瞬桜さんの体がビクッと震え、桜さんは手を引っ込めた。
「どうしたんですか?」
「いえ、何でもないわ…」
そう言う桜さんだが、明らかにさっきより顔色が悪くなってるし、若干肩で息もしている。心配になった優はそっと桜さんの肩に手を置いた。
「大丈夫ですか?」
「……!」
瞬間、バシッと優の手は弾かれた。桜さんの手によって。
「え」
私、何かした?ただ肩に手を置いただけだけど、そんなに拒否される事?
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