春夏秋冬
桜さんの声が泣き声に変わる。それを聞いて余計に顔を上げられない優。
「ごめんなさい」
その瞬間、優は桜さんの優しい腕に抱きしめられた。
「え?」
柔らかく、いい匂いが優の心を落ち着かせる。そして桜さんは、
「これからはずっと側にいて私を安心させて下さい」
「で、でも、本部に」
「もう飛行機には間に合わないわ」
そして桜さんは体を離し、真っ直ぐ見つめてくる。
「優、約束して。私はもう優から離れたりしない。だから、優も私が離れて行かないようにこの手をずっと掴んでいて」
「……」
「愛しています。優」
心の全ての不安を取り払う私だけに効く魔法の言葉。
自然と涙が溢れ、優は桜さんを抱きしめた。
生きていて本当に良かった。
< 147 / 148 >

この作品をシェア

pagetop