春夏秋冬


桜はベンチで休み、やっと落ち着く事が出来た。
「落ち着いた?」
早紀が心配して聞いてくれる。これ以上心配をかけないよう、桜は精一杯の笑顔を見せた。
「ええ。ごめんなさい」
あの症状は久しぶりだったので、正直あの場から逃げ出そうと思った。だが、頭の中にはあの時の映像がずっと流れていて、足を動かす事さえ出来なかった。
そして立ち上がった時の優さんの顔…。
動揺を隠しきれない泳いだ瞳。
私はまた、人を傷付けた…。
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