春夏秋冬
「大丈夫ですか?」
「ええ…」
頷く桜さんだが、全然そうは見えない。優はしばらく考え、右手を差し出した。
「よかったら」
「……」
手を引いて歩けば、少しでもこの人混みを早く抜け出せるだろう。
ただ問題なのは、人に触れられるのが苦手な桜さんがこの手を握ってくれるか分からないが…。
「……」
桜さんは優の手をじっと見つめ黙っている。その姿は自分に語りかけ、覚悟を決めているようでもある。何かこっちまで緊張してくる。
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