春夏秋冬
桜さんが住んでいる場所はとても静かな住宅街で、人通りも少なく、住みやすそうな所だった。そして桜さんの家はというと、見上げるほどの高級マンション。聞くと、マンションの最上階だと言う。
「天と地の差だな…」
まあ桜さんは幹部だし、元々ただの大学生とは生きる世界が違う。
優は自分に言い聞かせ、握っていた桜さんの手を離した。
「じゃあ私はこれで」
帰ろうとした優を桜さんが呼び止める。
「優さん」
「はい?」
「ありがとう」
「……」