春夏秋冬


桜は自分の部屋に戻り、玄関で大きく息をついた。久しぶりに人混みに行ったせいで疲れたが、珍しくパニックを起こす事はなかった。
優さんと手も繋いだのに…。
「……」
あの日から、人に触れる事も触れられる事も出来なくなった。
一生人を拒絶し生きていくのだと思っていたのに、優さんには触れる事が出来た。
いつきちゃんの親友だからだろうか…。いや、優さんの優しさのおかげだろう。
優さんの自然な優しさが私の心を包んでくれる。
もしかしたら、優さんなら私を救ってくれるかもしれない。
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