春夏秋冬
「ならどうして日本に戻って来たんですか?」
優の素朴な質問に綾さんは意外な答えを返してきた。
「私が無理矢理連れ戻したのよ。あんたに会わせる為に」
「私に?どうして…」
「あんたの優しさなら、桜の過去を癒してくれると思ったから」
「……」
真っ直ぐ見つめてきた綾さんの目は真剣で、目を逸らす事が出来ない。
「私がいつきに構ってあげられなかった時、あんたはいつもいつきの側にいてくれた。落ち込んで泣いている時も、私がしてやれない事をしてくれた」
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