春夏秋冬


「でもケーキ貰ってもな…」
小さいケーキだが一人で食べるにはキツイ。そう思いながら家に帰ると、玄関の前に人影があった。
「いつき?」
「おかえり、優ちゃん」
いつきは玄関の前で両膝を抱え寒さで震えていた。
優は慌てて駆け寄り、着ていたコートをいつきにかける。
「お前何してんの?いつから待ってんだよ」
「一時間前ぐらいかな?綾さんとご飯食べた後に来たの」
「何でわざわざ…」
今日は優もバイトだって言ってたし、綾さんと一日過ごしてほしかったのに。するといつきは白い息を吐き、
「クリスマス、優ちゃんとも過ごしたかったから」
「……一緒にケーキ食べようか」
「うん」
私は今年のクリスマス、最高のプレゼントを貰った。
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