春夏秋冬
優の想いを聞いた桜さんはじっと優を見つめていたが、やがて目を逸らす。
「ありがとう優。でも私は…優をたくさん傷付けるかもしれない」
「そんなの一日寝れば忘れます。桜さんと離れるほうが立ち直れません」
「……」
桜さんの迷いも、不安も、全て奪いたい。
「あなたが好きです。私の初恋、叶えてくれませんか?」
王子が姫にプロポーズをする時のように、優は桜さんの前で片膝を折り見上げる。
それがキザっぽくて面白かったのか、やっと久しぶりに桜さんの笑顔が見れた。
「…はい」
その時風が桜の木を揺らし、二人を薄紅色の世界へと包み込む。
まるで春の妖精が私達を祝福してくれているようで、嬉しくて涙が出そうになった。
< 93 / 148 >

この作品をシェア

pagetop