走り出す、恋。





そして



コンクリートの上で跳ねた腕時計は、あっけなく線路に落ちた。





「あっ!」



落とすつもりなんてなかったわたしは、消えてしまった腕時計をホームの上から見下ろした。






そのとき、だった。




学生服を着た見知らぬ男の子が、ホームからすかさずジャンプした。




「あっ!」



本日2度目の、「あ」が漏れる。


わたしは目を丸くした。





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