ロールプレーイング17
そして僕はもう一度冷静に考えた、本当ふざけた野郎だと、じわじわ怒りがこみ上げてきた。いきなり声をかけてきて、その上登校拒否だなんて、ふざけるのもいい加減にしろってもんだ。
そんなことを思っていると、僕の正面にある団地の、落書きと細かい罅の入った階段から、つかつかと足音が聞こえてきた

まさか、、、。

僕の中を悪い予感が迸った。まさかあいつが降りてきたんじゃないだろうな、、、。

そして僕の悪い予感は的中した。折り返しの階段を、くるりと回って降りてきたのは間違いなくあいつだった。嘘だろ勘弁してくれよ。
ヤツは穴の開いたGパンに左手を突っ込み、右手にはタバコ、柄の入ったシャツを着て、スニーカーのかかとはサンダルみたいに踏み潰していた。〝ガラ悪っ″絶対関わりあいたくないキャラだ。
って言うかマジでこっちに来る気かよ、冗談はよしてくれ僕は馴れ馴れしいヤツは大嫌いなんだから、、、。僕は頭の中でこの見知らぬ少年の分析を開始した。
そうだ、あいつはきっとたまたま今出かけるってだけなんだ。そうだよな、いきなり会っていきなり話しかけてくるような変人そうはいないよな。
僕はそう気を取り直して、視線を上げた。だが、少年の目線はこっち一本に絞られていた。僕は警戒心と怒りの警告の意を表して彼に威嚇の視線を促した。
〝来るな!〟と、だけどヤツは僕のそんな視線にも気付かず、着実に僕との距離を縮めていた。難しい問題が黒板に書かれた時、哀れな生徒が〝先生僕を指さないで〟って言うあの時の心境に良く似ている。だからたのむから来ないでくれ!
僕は次の作戦にでることにした。声を掛けずらいオーラを放つ作戦だ。僕はヤツから完全に視線をそらし、膝の間で両手を組んだ、そして姿勢をうつむけ目を閉じる。
完璧だろう。
僕はヤツの行動を、心の中で読み取ろうとした。
あいつは、僕の手前の通路を左にそれて駅の方向に行くに違いない。
< 7 / 110 >

この作品をシェア

pagetop