ロールプレーイング17
だけどその想像も虚しく、僕はあいつにつかまった、、、。

ザザザッと靴を引きずる音がして、砂埃が舞い上がった。
目の前に影ができて、視界が一瞬暗くなった。
僕は覚悟を決めて、ゆっくりと目を開けた。
目の前には、かかとを踏み潰したボロイスニーカーが、、、。
僕はゆっくりと、視線を上げた。

「よおっ!」
ヤツは僕を見下ろし、一指し指と中指の間にタバコを挟んだままの右手を片まで上げた。一瞬でもその仕草をクールだと思っい、ちょっとでも油断してしまった自分に腹が立った。
そして僕は落胆した。

「やっぱり登校拒否か?そうだろ?俺には解るぜ。」
いきなり、いきなりだ。いきなりヤツは、僕にその言葉を浴びせかけた。そして何事もなかったように、左手をポケットからだし茶色い髪をかき上げた。
「今月に入って、お前ここによく来てたろ?上から何回も見たんだぜ。」
彼は吸いさしのタバコをベンチの間の灰皿に押し込めた。
「不規則な時間に来て、本を読んだり、ゲームやったり、オタクか登校拒否のガキのすることだろ?おまえ何歳だ?」
僕は最大限の怒りをこめて、彼を睨み付けた。
「オペラグラスでさっきの窓から、お前の読んでいた本を盗撮したこともあったんだぜ。その時、おまえが読んでいた本何か教えてやるよ。〝完全自殺マニュアル〟心当たりあるだろ?あん時はマジあぶねーヤツだと思ったよ。」
冷やかしか?それともわざわざ喧嘩売りにきたのか?
だけどそれはマジな話だった、確かに僕は先週の水曜か木曜の晴れた日に、ここに来てその本を読んでいた、〝完全自殺マニュアル〟自殺志願者の僕が愛読書ランキングの上位に入れておくのは当然の本だ。
「危ないヤツかと思ったら、おまえこんな本も読むんだな。」
彼は僕の隣に座り、さっき僕が完読したばかりの本を勝手に手にとりペラペラめくって見ているじゃないか、、、。僕は完全に頭にきた。
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