ロールプレーイング17
「何すんだよ!人の物かってに触るなよ。」
僕は彼から、自分の本を奪い返した。
「あ、悪いー、でも悪気はないんだ。」
 僕はもう一度彼を睨んだこれ以上の怒りは無いと言うぐらいに。
「そんな顔しないでくれよ。」
さすがに、ここまで憎しみをあらわにしていると、いくら鈍感、愚鈍、無頓着なヤツにでもその意思を伝えることが出来るんだなと何気に思った。
僕は心底頭にきていた、だけど口喧嘩の鉄則は〝冷静さを失わないこと〟ってことぐらい僕はちゃんと弁えていた。こんなところで昔読んだ本が役に立つなんて思っても見なかったけど。僕は冷静に彼を追い払おうと試みることにした。
「そんな顔するなって?誰だってするに決まってるだろ。人の物を勝手に触るなんて、非常識極まりないだろうおまけに盗撮?君にはプラバシーってものが存在しないのかい?一歩間違えば、法律だって犯すことにも成りかねない。君はそれを僕にしたんだ。嫌な顔するの当たり前だろ、その上おまえ、おまえって人に向かって失礼すぎるんじゃないかい?人に歳を聞いたりなんだかんだって、、、。人にとやかく言う前に自分が言ったらどうだなんだ、頼むからあっち行ってくれないか?僕の邪魔をしないでくれよ。」
ここまで、言えば普通の人間なら、間違いなく退却するだろう。僕はそう思いちょっと勝ち誇った気分になった。しかし目の前の敵は思っている以上の強敵だった。
「だって~。暇だったんだも~ん。」
 解ってない、こいつには解り得ない、、、。ありえないと僕は思った。第二ラウンドへ行くしかないのか。この世の中無茶苦茶だ!
「君、B型だろ、自己中心的過ぎるよ。」
 僕は、あきれた口調で彼に言った。
「はずれ~俺はО型なんだな。まぁ惜しいと言えば惜しいけど。親は両方B方なんだ、だからBに近いОってとこかな。んで、おまえじゃなくて、君は何型?」
僕としたことが、バカを相手にくだらない話題をもち出しちまった。後悔しても、もう  〝時、すでに遅し〟だ。
僕は仕方なくバカの相手をすることにした。
「君と同じ、О型だよ。」
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