キミとのこと
ハンバーガーを食べながらキミが言った。
「志望校決まった?」


「んー、いちおうね。東京行きたくて、A女の心理学部がいいかなって。まだまだA判定までは遠いんだけど。」
苦笑して答える。

「マジかぁ!俺A大狙いなんだ。受かったら大学近いね。よろしく〜。」
ニコニコしながらキミが言う。

「あはは、そうだね。」
心に複雑な思いを抱えたまま、笑った。


「カナタも東京の大学狙いだし、また遊べるといいな。ま、その前に死ぬほど勉強しなきゃだけど。」


お互い笑いながら、つかの間の休み時間を過ごした。


なんて楽しいんだろう。

胸がキュンキュン来るような甘い話じゃないけど。

いつまでも話していたい。


だけどキミは友達で、そして、あたしたちには未来のための苦しい宿題があって。

今だけなんだ。
この数十分だけ。キミを独り占めできる。


それなら大切な思い出にできるように。この時間をいつまでも忘れないように。
笑っていよう。
なんだか吹っ切れた。
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