ちよこれいと
「夏海」
「なに」
机の上に置いたチョコを
奏悟は一瞥すると、
あたしの顔を見上げてきた。
「お前は俺にチョコくれないの?」
奏悟の言葉に思わず、
あたしは飲んでいたココアを吹き出した。
それも、女子とは思えないくらい派手に。
「ぶふォォオ!」
「バカ、おめっ、ちょっ。きたねェな!」
「うー……ゲホゲホッ!」
あーもー、ベトベトする!
ハンカチをだして
口の周りをゴシゴシ擦っていると、
奏悟が止めにかかってきた。
「ちょ、拭いてんの! 腕つかむな!」
「唇切れんだろボケ。アホ。」
「うるせーハゲ。変態。」
「んなっ!?」
奏悟は大人しくあたしの腕から手を離すと、
不満そうに拗ねながら睨んできた。