ストリート
バーに戻るとエレベーターで三階に上り、藍間に入った。
すると千秋が待ちわびたかのようにすりよってきて、
「浬都遅いっ!!何してたの~?」
と問いただすが、
「いや、何もないよ。遅くなってごめんね。はい、これカフェオレ。」
本当の事を言うつもりはない。
「ぁ、ありがとー。これ俺の好きなやつだー!!」
「奈緒もはい。」
「ぁあ。」
「あと俺、明日から用が出来たから倉庫これないから。」
と言うと奈緒は鋭い目をして
「理由言え。」
理由を求めてきた。
「私用だから言うつもりはないよ。でもできるだけ顔は出すようにする。」
「ちッ」
「いつまでかかるか分からないから。」
「…。」
「んぢゃあ、今日はもう帰るね。」
そう話を強制的に終わらせた時にはすでに奈緒はそっぽを向いていた。
「ぇえー浬都明日から来ないの~?」
「ぅん、ごめんね。ちょっとの間奈緒の事よろしくね。」
「んー…‥」
不服そうな顔をしていたが気にせず
「じゃあね。」
と言ってバーを後にした。
『出逢い』…めぐりあい。必然か、はたまた偶然か。