森奥の水郷


「ハァ…ハァ…」


ようやく重みから解放されて、息をする。
肺が潰れるんじゃないかと心配したけど、大丈夫だったようだ。


「アンタってホント軟弱よね…そんな体力無くて子供産めるわけ?」


彼女からの叱責も慣れたものだ。
だから私も「はいはい」と言って毎回受け流す。


「ホントに分かってる?
体力無い女なんて誰も嫁に欲しがらないのよ?」


「大丈夫。私一生独身だから。」


飽きもせず、そんなやり取りを繰り返す私たち。

いつもと同じように私が怒られ、彼女が怒り、最後には笑いあう……筈だったのに、最後に言われた言葉に、私は心底驚いた。


「あぁ、そうだ。
私ね、結婚することになったんだ。」


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